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  • namu27

見落とす

10年ほど前に初めて使用した洗濯槽クリーナー。クリーナーには酸素系と塩素系とがあり、粉や液体のクリーナーを洗濯機に入れ、水を足し撹拌。その後1時間ほど放置すると、洗濯槽の裏側についたカビなどが取れて、浮かんでくる。家の洗濯槽はステンレス製であり、長年使用していても一見輝いている。しかしクリーナーを初めて使用したときは愕然とした。きれいと思っていたのもこの目に見える範囲の事で、目に見えぬ洗濯槽の裏側には長年にわたり蓄積された汚れがあったのだろう。使用すると水は瞬く間に濁り、泥水を入れたような状態になった。それを見てからというもの、今まで当たり前のように使っていたタオルも随分と汚れていたのだと知り、半年に一度はクリーナーの洗剤を入れて清掃するようにしている。


さて、話は変わるがアメリカのプロバスケットリーグ(NBA)で活躍している八村塁さんをご存知の方も多いと思う。八村さんはベナン人の父と日本人の母の間に生まれ、恵まれた体格から出る迫力あるプレーで見るものを魅了する。努力し目指している方には申し訳ないが、日本人がNBAで活躍できるなどと思ってもみなかったので、八村さんの活躍は一層輝いて私には見えた。


しかし、その八村さんが先日、自身のツイッターで人種差別を受けている事について語ってくださった。内容は、『日本には人種差別問題がないという人がいるが、現実にはあるのだ。』と語られた後に、ここで引用する事も憚れるような内容の自身に向けられた差別用語について告白して下さった。

確かに、日本の社会は差別がないという。平和だという。礼儀正しく清潔であり、おもてなしの心で…。などという言葉をよく耳にする。しかし、これらは現実的にある悲痛な声に耳を傾けないからこそいえる言葉ではないだろうか…。差別はない。平和だ。という向こう側に、悲痛な声、苦しんでおられる方がいるのだと知らされた。


見なければ気付かなかった洗濯槽。私の目には輝いて見えた洗濯槽。しかしそれは、事実と反している。平和、綺麗、礼儀正しい。この言葉で満足し、思考を停止させるのではなく、本当だろうか?と問いを持ち、声なき声を聞いてゆかねばならないと改めて思わされた。